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東京高等裁判所 平成6年(行ケ)153号 判決 1998年1月20日

原告 アキレス株式会社

被告 特許庁長官

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第1当事者の求めた裁判

1  原告

「特許庁が平成3年審判第18780号事件について平成6年4月28日にした審決を取り消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決

2  被告

主文同旨の判決

第2請求の原因

1  特許庁における手続の経緯

原告は、昭和62年5月1日名称を「フード付外着」とする実用新案登録出願(昭和62年実用新案登録願第65283号、以下「原々出願」という。)をし、平成元年2月3日原々出願を意匠法13条2項の規定により意匠に係る物品を「フード」とする意匠登録出願(平成1年意匠登録願第3756号、以下「原意匠出願」という。)に変更出願したが、さらに同年12月8日原意匠出願を実用新案法8条2項の規定(平成5年法律第26号による改正前の規定。以下同じ。)により名称を「フード付外着」とする実用新案登録出願(平成1年実用新案登録願第141566号、以下同出願を「本願」といい、同出願に係る考案を「本願考案」という。)に変更出願したところ、平成3年7月26日拒絶査定を受けた。そこで、原告は、同年9月25日特許庁に対し審判を請求し、平成3年審判第18780号事件として審理された結果、平成6年4月28日「本件審判の請求は、成り立たない」との審決があり、その謄本は同年6月1日原告に送達された。

2  本願考案の要旨

外着の襟部外周に少なくとも両端部を固着して設けたスライドガイド帯部材に対し交差状態で係合するスライド部材を、フードをブード部布とで形成するフード下部布内面左右に配設するとともに、前記フード下部布の両端部を重合掛止する掛止具をフード下部布に設けたフードを備えたことを特徴とするフード付外着。

(別紙図面1参照)

3  審決の理由の要点

別添審決書「理由」記載のとおりである(以下、同審決書添付の図面を「原意匠出願図面」という。)。

4  審決の取消事由

審決は、原意匠出願に本願考案が記載されているのに、これが記載されていないと誤って判断した結果、本願は出願の変更における出願時の遡及の利益を受けることができず、平成元年12月8日付けで出願がされたものであると誤って判断し、かつ本願考案は引用例記載の考案であって実用新案法3条1項3号に該当するとの誤った結論を導いたものであるから、違法として取り消されるべきである。

(1)  審決は、「原意匠出願には、本願で対象とするフード付外着の考案が何ら記載されておらず、出願時の遡及の利益を受けることができないものである。」と判断している。

しかしながら、本願考案の構成は、実用新案登録請求の範囲(前記本願考案の要旨)記載のとおりであって、これを分節すると、(イ) 外着の襟部外周にスライドガイド帯部材を、その少なくとも両端部を固着して設けたこと、(ロ) スライド部材を、スライドガイド帯部材に対し交差状態で係合すること、(ハ) スライド部材を、フード上部布とで形成するフード下部布内面左右に配設したこと、(ニ) フード下部布の両端部を重合掛止する掛止具をフード下部布に設けたこと、(ホ) 上記構成要件(イ)ないし(ニ)を有するフードを備えた衣服、すなわち、フード付外着を構成要件とするものであり、いずれも原意匠出願図面からその構成を把握できるものである。

なお、別紙図面2(甲第6号証)は、原意匠出願図面を拡大し、それぞれ引込線を引き符号を付したものであり、本願考案が原意匠出願に実質的に記載されているかについて、別紙図面2に基づいて主張する。

<1> 構成要件(イ)について

原意匠出願図面中の「使用状態を示す参考図」には、襟部11を有する外着10、その襟部11の外周に首回り方向に配設された一本の帯部材31が図示されている。この31で示される部材は、ほぼ一定幅を保って一方向に細長く伸びた部材であって、一般に、帯状もしくは帯形状とはほぼ一定幅を保って細長く伸びた形態を指すから、帯部材であると容易に把握することができる。

その上、「使用状態を示す参考図」には、31で示される部材が外着10の襟部11の左右に記載されているから、通常一般の者であれば、「使用状態を示す参考図」を見て、31で示される部材は、帯部材31であって、かつ、これは外着10の襟部11の外周に首回り方向に配設されていると認識することができる。

また、「使用状態を示す参考図」には、帯部材31の両端部が、別の部材で支持されることなく、襟部11の中央の高さに保たれている形態が描かれており、かつ帯部材31の両端部のそれぞれの表面に、31a、31bで示される縫い目と思われる楕円形の線図が描かれているから、通常一般の者、ましてや当業者であれば、同図を見て、そこに記載された帯部材31は楕円形の線図の部位において襟部11と結合し、これにより帯部材31の両端部31a、31bはともに襟部11に固着されているものと把握することができる。

さらに、「使用状態を示す参考図」には、帯部材31がフード20の内面に左右に取り付けた2個のループ状部材32、32の輪にそれぞれ挿通されており、これらの部材32、32が帯部材31に対して交差状態で係合されている形態が描かれているから、通常一般の者、ましてや当業者であれば、同図のループ状の部材が帯部材に対して交差状態で係合する形態を見て、左右2個のループ状の部材32、32は帯部材31に沿って(その長手方向に)滑り動くことができ、そして、フード20も一緒に襟部11の外周に沿って滑り回るものと把握することができ、同時に、帯部材31は、かようなループ状部材32の滑り動き(スライド)を案内(ガイド)するものとして把握することができる。すなわち、「使用状態を示す参考図」より、31で示される帯部材は、フード20と一緒に滑り動くというループ状部材32の動きを案内するというスライドガイド機能を有する部材と把握することができる。

さらに、甲第8号証の1乃至甲第10号証の2において証明されるように、フード付外着の分野において、その両端が外着の襟部に固着され得る構造の帯部材を、フード内面に取り付けたループ状部材の輪に挿通することにより、ループ状の部材を帯部材に対して交差状態で係合する構成を有するフード付外着は、原意匠出願時において、いわゆる回るフードとして、既に市販されていたから、少なくとも、フード付外着の分野における当業者であれば、原意匠出願図面を見たとき、その図面には、回るフードが図示されていると容易に把握することができるものである。

したがって、原意匠出願図面には、構成要件(イ)が記載されている。

<2> 構成要件(ロ)について

原意匠出願図面中の「A-A断面図」および「B-B切断部端面図」には、一本の帯をその両端が重合するように折り重ねて輪を形成するところのループ状部材32が図示されている。また、「使用状態を示す参考図」には上記図面に描かれた2個のループ状部材32、32が左右に図示され、かつ帯部材31が前記左右2個の部材32、32の輪にそれぞれ挿通されている形態、すなわち「使用状態を示す参考図」には、左右2個のループ状の部材32、32が帯部材31に対して交差状態で係合されているところの形態が描かれている。

一般に、「ループ状の部材が帯部材に対して交差状態で係合する形態」を有するとき、ループ状の部材は、帯部材に沿って移動又は変位することができる。要するに、上記の形態は、ループ状の部材が帯部材に沿って滑り動くというスライドが可能な形態であって、このような形態は、フード付外着以外の服飾において、例えばスラックスのベルト通しにベルトを通した光景とか、ワンピースの腰のループに紐を通した光景等において、通常一般の者が生活の中でよく目にすることができる形態であるから、「ループ状の部材が帯部材に対して交差状態で係合する形態」は、日本の服飾様式に親しまれている形態であり、したがって、通常一般の者、ましてや当業者であれば、上記の形態が描かれたフード付外着の図面を見て、そのフード付外着は、ループ状の部材が帯部材に沿って移動または変位することができるという作用機能を発揮するものと容易に把握することができる。

また、ループ状の部材32、32はフード20の内面の左右に取り付けられている。したがって、ループ状部材32、32とフード20は一体に結合されているので、ループ状の部材32が滑り動くとき、フード20も一緒にその方向に動くという動きをするから、通常一般の者、ましてや当業者であれば、「使用状態を示す参考図」をみて、左右2個のループ状の部材32、32は帯部材31に沿って滑り動くことができ、その際、フード20も、ループ状の部材32の滑り動き(スライド)と一緒になって、襟部11の外周に沿って滑り回るものと把握することができる。

したがって、原意匠出願図面には、構成要件(ロ)が記載されている。

<3> 構成要件(ハ)について

原意匠出願図面の各図には、フード上部布21とフード下部布22とで形成されたフード20が図示されており、また、「使用状態を示す参考図」には、フード下部布22の内面左右に、2個のスライド部材32、32がそれぞれ配設されている形態が図示され、このことは「平面図」及び同図のA-A線における断面を表す「A-A断面図」の記載からも確認される。

したがって、原意匠出願図面には、構成要件(ハ)が記載されている。

<4> 構成要件(ニ)について

原意匠出願図面中の「正面図」、「背面図」、「平面図」、「底面図」、「左側面図」及び「右側面図」には、フード下部布22が図示され、さらに、このフード下部布22の両側の端部22b、22cが重合された形態が描かれている。また、「使用状態を示す参考図」には、フード下部布22の両側の端部22b、22cの重合部位にそれぞれ取り付けられた掛止具(ベルベットファスナーと認められる。)221、221が図示されている。

したがって、原意匠出願図面には、構成要件(ニ)が記載されている。

<5> 構成要件(ホ)について

「使用状態を示す参考図」には、襟部11とともに、その下側に前身頃を表す線図、及びその線図の左右側にそれぞれの袖を表す線図が記載され、前身頃を表す線図には、左身頃の前端を表す3個の小円形の図線が間隔を置いて記載されている。肌着、下着等にあっては、いくつかの釦を左身頃の前端に沿って上下に適当な間隔で取り付けるという構成は従来より一般に採用されていないから、同図には、フード20とともに、その下方に衣服の外着10が記載されていると把握できる。

したがって、原意匠出願図面には、構成要件(ホ)が記載されている。

以上のとおり、構成要件(イ)ないし(ホ)よりなる本願考案は、原意匠出願に実質的に記載されていることが明らかである。

(2)  審決は、原意匠出願に本願で対象とするフード付外着の考案が何ら記載されていない理由として、「原意匠出願には、(中略)意匠に係る物品、つまり意匠を具現化した物品が実際にどのような構成をとり、そのそれぞれの構成要素がどのような目的を有し、どのような作用ないし働きをし、効果を奏するのかなどについて何ら記載するところがない。」としている。

しかしながら、意匠登録出願をするとき、出願人は、意匠に係る物品(つまり、意匠を具現化した物品)の各々の構成要素の目的、作用ないし働き及び効果を願書又は図面に記載することまでは、意匠法上要求されておらず、また、これらは、出願人が自由に記載することができる事項でもないから、意匠登録出願から実用新案登録出願への出願の変更においては、意匠法で要求していないところの意匠に係る物品の各々の構成要素の目的、作用ないし働き及び効果がもとの意匠登録出願に記載されていることを要件とすべきではなく、仮に、これを要件とするならば、意匠登録出願から実用新案登録出願への出願の変更は事実上不可能な手続となり、考案の保護の観点から出願形式の選択の過誤の是正を認める実用新案法8条2項の規定の趣旨に反することになるから、上記の判断は誤っている。

(3)  前記のとおり、原意匠出願には本願考案が記載されており、原意匠出願から本願への出願変更は適法になされた手続であるから、本願は、出願時の遡及の利益を受けることができ、昭和62年5月1日付けで出願されたものと認められるから、本願考案が実用新案法3条1項3号に該当するか否かの判断に当たっては、その遡及した出願日よりも後に公開された引用例記載の考案を引用することは許されない。

したがって、本願考案は引用例記載の考案と同一であって、実用新案法3条1項3号に該当するとした審決は、違法として取り消されるべきである。

第3請求の原因の認否及び被告の主張

1 請求の原因1ないし3の事実は認め、同4(1) の本願考案が構成要件(イ)ないし(ニ)よりなること、前記構成要件の(ハ)、(ニ)、及び(ホ)の内本願考案がフード付外着であることは認め、その余の事実は争う。審決の認定判断は正当であって、審決に原告主張の違法は存しない。

(1)  意匠登録出願から実用新案登録出願への変更出願に当たっては、必ずしも変更後の実用新案登録出願に係る考案がもとの意匠登録出願に文章として記載されていることが要求されるものではなく、図面等の記載からみて、実質的に記載されているものということができれば認められる。しかしながら、出願変更により、出願日の遡及が認められるということは、変更後の出願に記載された事項がもとの出願時に開示されていたとみなすことであり、第三者に及ぼす影響も大きいので、「実質的に記載されている」ということは、もとの出願に記載された内容からみて、記載されていると認識し得る程度に自明な事項の範囲でなければならない。

原意匠出願には、10個の原意匠出願図面で示される意匠と、意匠の説明として、「参考左側面図において薄墨で表した部分は透明である。」との説明が記載されているのみであって、図面に示された意匠の各部分がどのような名称であるのか、どのような機能をもって、どのような作用効果を生じるものであるのか等の記載はなく、全く不明である。

原告は、原意匠出願図面を拡大し、同図面にはない引込線を引いて符号を付した別紙図面2を用い、かつ図面に記載されていない各部分の名称を用いて本願考案が原意匠出願に記載されていたことを説明しているが、その検討は、あくまでも原意匠出願図面に基づいてなされるべきであり、別紙図面2を用い、かつ原意匠出願図面から実質的に記載されていると認識できる程度に自明でもない形状、構造及び機能等を表すような名称を用いてなすべきものではない。

<1> 構成要件(イ)について

原告は、原意匠出願図面中の「使用状態を示す参考図」には、襟部11を有する外着10が図示されていると主張する。

しかしながら、上記図面に示された各部分がどのような名称であるのか、どのような機能をもって、どのような作用効果を生じるものであるのか等の記載はない。同図面には、「フード」の使用状態が示されているということはできるが、その下方に描かれたものが「外着」であるかどうか不明であり、その記載から自明ということはできない。

「使用状態を示す参考図」から帯部材31が外着10の襟部11の外周に首回り方向に配設され、かつ帯部材31の両端部31a、31bはともに襟部11に固着され、ループ状部材32のスライドをガイドするものとして把握することができると主張している点も同様であって、そのように認識できる根拠はない。

また、原意匠出願当時原告主張のようなフード付外着が周知であつたとしても、当時フードと外着が一体となつたフード付外着も周知であって、原意匠出願図面を見た当業者がフードと外着が別体になっている型のフード付外着であると容易に認識するとはいえない。

したがって、原意匠出願図面には、構成要件(イ)が記載されているとする原告の主張は誤りである。

<2> 構成要件(ロ)について

原意匠出願図面中の「A-A断面図」及び「B-B切断部端面図」には、一本の帯をその両端が重合するように折り重ねて輪を形成するところのループ状部材が図示されていること、また、「使用状態を示す参考図」には2個のループ状部材が左右に図示され、かつ別紙図面1で31で示された部材の左右に記載された部材のそれぞれの一部が交差状態で係合されていることは認められるが、31で示された部材をもって「スライド帯部材」といえないこと前述のとおりであるから、この構成のみからその部材のスライド機能を容易に把握できるとする根拠はない。

したがって、原意匠出願図面には、構成要件(ロ)が記載されているとはいえない。

以上のとおりであって、本願考案の構成要件(ハ)、(ニ)及び(ホ)の内本願考案がフード付外着であることが原意匠出願に記載されていることは認めるが、その余の構成要件は実質的にも記載されているといえないから、本願について出願時の遡及の利益を受けることがてきないとした審決の認定判断に誤りはない。

(2) 意匠登録出願の対象である意匠が具現された物品は、同時に技術的思想の創作として実用新案登録出願の対象ともなり得るが、その場合、もとの意匠登録出願の願書に添付された図面及び願書に記載された事項、並びに説明書のあるときはその説明書から、実用新案登録出願の対象となる考案が記載され、あるいは実質的に記載されていると認められる場合に限り、変更出願が認められるのであって、審決は、原意匠出願の意匠を具現化した物品である「フード」について、上記の点を検討した結果、原意匠出願には変更後の本願考案が記載されておらず、実質的に記載されていると認識できないとしたものであって、その認定判断に誤りがないことは前記(1) のとおりである。

「意匠に係る物品、つまり意匠を具現化した物品が実際にどのような構成をとり、それぞれの構成要素がどのような目的を有し、どのような作用ないし働きをし、効果を奏するのかなどについて何ら記載するところがない」との審決の判断は、本願考案の目的、構成及び効果が原意匠出願に実質的に記載されているかについて検討した結果についての判断を示したものであり、その判断に誤りがないことは、前述のとおりである。

(3)  前記のとおり、原意匠出願には変更後の本願考案が記載されておらず、実質的に記載されているともいえないから、本願は出願日遡及の利益を受けることはできないのであって、引用例記載の考案を引用して本願考案が実用新案法3条1項3号に該当するとした審決の判断に誤りはない。

第4証拠関係<省略>

理由

第1請求の原因1(特許庁における手続の経緯)、同2(本願考案の要旨)、同3(審決の理由の要点)は、当事者間に争いがない。

第2成立に争いのない甲第5号証(全文補正明細書及び図面)によれば、本願明細書には、本願考案の技術的課題(目的)、構成及び作用効果が次のように記載されていることが認められる。

1  技術的課題(目的)

本願考案は、例えば雨衣、防寒服、スポーツウエア等のフード付外着であって、この外着の襟部に対してフードが回動できるように組み付けられたフード付外着に関する(1頁14行ないし17行)。

従来のフード付外着は、フード回動構造として振子運動を利用したため、現実的に例えば振幅体となる帯体の長さは着用者の耳に当接しない範囲内等の長さの規制が存在し、したがってフードの回動幅がこの制約された帯体の振幅の長さ分に限定されて小さいとともに、これを着用して左右後方に大きく振り向くと、振子運動に従ってフードが斜め上方向へ持ち上げられてフードが外れ易くなり、風がある時にはフードが飛ばされるおそれもあった。

本願考案は、このような従来技術を背景になされたもので、左右後方への頭の動きに従って支障なく首回り方向にフードを回動させることができ、かつこのフードの回動範囲を充分大きくとることもできるフード付外着を提供することを技術的課題(目的)とするもである(3頁7行ないし4頁1行)。

2  構成

本願考案は、前記技術的課題を達成するためにその要旨(実用新案登録請求の範囲)記載の構成(1頁5行ないし11行)を採用した。

本願考案の実施例のフード付外着は、別紙図面1第1図に示すように外着10の襟部11とフード20との間をスライド係合させることにより、フード20が頭の動きに追従して回動できるようにした構造を備えたものであって、このフード回動構造30として、襟部11に首回り方向の両端部31a、31b及び中央部が固着されるスライドガイド帯部材に対し、交差状態で係合するスライド部材32、32を、フード20をフード上部布21とで形成するフード下部布22内面左右に配設している。また、この実施例では、前記第1図に示すようにコート10の襟部11に、スライドガイド帯部材31が首回り方向の両端部31a、31b及び中央部31cが縫着されて固着される一方、第5図に示すようにフード20の下部布22のフード両側部22b、22cに、スライド部材32、32の上端部32a、32bのみが同じく縫着により固着されている(5頁9行ないし6頁18行)。

本願考案の実施例のフード付外着にあっては、フード回動構造30として、襟部11に首回り方向の両端部31a、31bが固着されるスライドガイド帯部材31が襟部11から離れて浮いている部分に対応するフード下部布22のフード両側部22b、22cにそれぞれ首長さ方向の両端部32a-32bが固着されるスライド部材32、32とを有しており、これらのスライドガイド帯部材31及びスライド部材32、32は互いに交差状態で係合される構造を採用させているため、左右後方への頭の動きに従って支障なく首回り方向にフード20を回動させることができ、しかもこのフードの回動範囲を充分に大きくとることもできる(9頁8行ないし10頁4行)

3  作用効果

本願考案は、このように、外着の襟部外周に少なくとも両端部を固着して設けたスライドガイド帯部材に対し、交差状態で係合するスライド部材をフード下部布に配設してあるので、着用に際してはフード下部布両端部を重合掛止してフードを頭に密着させれば、左右後方への頭の動きに従って支障なく首回り方向にフードを回動させることができ、しかもこのフードの回動範囲を充分に大きくとることもできるという作用効果を奏する(10頁20行ないし11頁8行)。

第3そこで、原告主張の審決の取消事由について検討する。

1  実用新案法8条2項の規定において、意匠登録出願を実用新案登録出願に出願変更できることを認めている趣旨は、意匠登録出願の対象である「物品の形状・模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」(意匠法2条1項)が、同時に実用新案法2条1項の規定する自然法則を利用した技術的思想の創作でもある場合には、意匠登録出願後に出願人に一定の期間内に、実用新案登録出願への変更の機会を与えることが実用新案法の目的に適うことにあり、出願の変更が認められた場合は、出願人の利益を保護するためその実用新案登録出願は意匠登録出願の時にしたものとみなすものとされている(実用新案法8条3項)。

ところで、意匠登録出願は、意匠に係る物品等を記載した願書に意匠登録を受けようとする意匠を記載した図面又はこれに代わる写真、ひな形、見本を添付してなされる(意匠法6条1項2項)から、意匠出願の対象とされた物品が同時に実用新案法2条1項の規定する自然法則を利用した技術的思想の創作であるとして実用新案登録への変更出願が認められるためには、その図面等に変更出願の対象とされる物品の形状、構造又は組合せに係る考案が自然法則を利用した技術的思想の創作として少なくとも実質的に記載されていると認められることを要件とするというべきである。そして、ここに「技術的思想の創作」とは、実用新案制度の趣旨に照らし、当該考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に、具体化されていることを要し、その程度に具体化されているというためには、単に原意匠登録出願から変更出願の対象である考案の実用新案登録請求の範囲に記載された構成が把握できるというに止まらず、その考案の構成要件がどのような技術的課題(目的)をもって規定され、どのような作用をなし、かつ効果を奏するのかが明確であることを要するというべきである。

もっとも、意匠登録を受けようとする意匠を記載した図面等においては、その性質上物品の形状、構造又はその組合せの記載は限定的とならざるを得ないから、変更後の実用新案登録出願に記載された考案が容易に意匠登録出願に記載されていると認められないことになる(いわゆる動的意匠出願の場合には、意匠法6条5項により当該意匠に係る物品の機能の説明が書面に記載されるから、他の意匠出願に比べ、技術的思想の創作と認められる可能性は相対的に高くなる。)が、意匠登録出願に係る物品が技術的思想の創作といえるのは、その図面等に具体的特定された物品の形状、構造又はその組合せから技術的思想の創作が明らかに認識できるからであり、変更出願に当たり実用新案登録出願の明細書に記載することを要する事項について、意匠登録出願に添付された図面等から認識できる程度、内容を超えて、実用新案法5条2項3項の規定(平成2年法律第30号による改正前の規定)が定める考案の目的・構成・効果の記載を許容するとすれば、出願人に不当な利益を与えることになり、実用新案法7条に規定するいわゆる先願主義の趣旨に反する結果を将来するおそれがあることは明らかである。そうすると、実用新案登録出願の明細書に記載すべき実用新案登録請求の範囲、当該考案の目的・構成・効果の内容も当業者において意匠登録出願に添付された図面等から認識できる程度、内容のものでことを要するというべきである。

2  そこで、本件変更出願の適法性について判断する。

(1)  本願考案の構成要因(ハ)、(ニ)、及び(ホ)の内本願考案がフード付外着であることが原意匠出願に記載されていることは当事者間に争いがない。

変更出願である本願考案は、前記第2、1のとおり左右後方への頭の動きに従って支障なく首回り方向にフードを回動させることができ、しかもこのフードの回動幅を充分長くとることもできるフード付外着を提供することを技術的課題とするものであって、このため前記構成要件(イ)「外着の襟部外周にスライドガイド帯部材を、その少なくとも両端部を固着して設けたこと」及び構成要件(ロ)「スライド部材を、フードをスライドガイド帯部材に対し交差状態で係合すること」を必須の構成要件としていることは本願考案の実用新案登録請求の範囲の記載に照らして明らかである。

成立に争いのない甲第3号証によれば、原意匠出願は、意匠に係る物品を「フード」とし、図面として、審決書添付の「正面図」、「背面図」、「平面図」、「底面図」、「左側面図」、「右側面図」、「A-A断面図」、「B-B切断部端面図」及び「参考左側面図」、「使用状態を示す参考図」を添付してされたものであって、「意匠の説明」の項には、「参考左側側面図において薄墨で表した部分は透明である」と記載されていることが認められる。

そして、原意匠出願図面の内、「使用状態を示す参考図」には、外着の襟部の前端部分の左右の位置に端部が固着されていると認めることができる2つの帯状部材が示され、「B-B切断部端面図」からこの部材の端部はフードに固着されたループ状を呈していることを認められるから、「使用状態を示す参考図」において、この部材と前記帯状部材との配設関係は、帯状部材がループ状部材のループ部分を通して交差状態で配設されているものと認めることができる。そして、フード付外着はその着用状態でフードが外着に取り付けられていなければ用をなさないことは経験則に照らして明らかといえるところ、原意匠出願図面には、フードと外着の取り付けについて、前記外着の襟部に一端部が固着された2つの帯状部材とフードに端部が固着された2つのループ状の部材以外にその取り付けの態様を示す部分がないのであるから、「使用状態を示す参考図」に示された2つの帯状部材と2つのループ状部材はフードを外着に取り付ける機能を有するものであることが図面自体から認識できる。また、帯状部材とループ状の部材が交差状態で配設されていればその構成上相対的に滑り動くことができることは技術常識に照らして明らかであるから、原意匠出願図面に示されているフードは2つの帯状部材の襟部の前端部分で固着されている個所と他の固着個所の範囲内において回動できると認めることができる。

そうすると、原意匠出願には、構成要件(ロ)「スライド部材を、スライドガイド帯部材に対して交差状態で係合すること」が、図面自体から明らかに認識できる程度、内容のものとして示されているといえ、また、構成要件(イ)「外着の襟部外周にスライドガイド帯部材を、その少なくとも両端部を固着して設けたこと」は帯状部材の襟部の前端部分で固着される個所と図面には示されていない他の固着個所とで固着されているものと認めることができる。そして、原意匠出願には、構成要件(ハ)「スライド部材を、フード上部分とで形成するフード下部布内面左右に配設したこと」、(ニ)「フード下部布の両端部を重合掛止する掛止具をフード下部布に設けたこと」が原意匠出願に記載されていることは当事者間に争いがないから、(ホ)「上記構成要件(イ)ないし(ニ)を有するフードを備えた衣服、すなわち、フード付外着」も、原意匠出願からその構成を把握できるというべきである。

しかしながら、本願考案が解決しようとする技術的課題(目的)は、前記第2の1認定のとおり左右後方への頭の動きに従って支障なく首周り方向にフードを回動させることができ、しかもこのフード回動幅を充分長くとることもできるフード付外着を提供することであり、このためには、第2の2認定の本願明細書の考案の詳細な説明において別紙図面1に基づいて説明されている構成、すなわち、スライドガイド帯の中央部が外着の襟部に固着されているように、支障なく首を左右後方へ回わすことができるような個所にスライドガイド帯が襟部に固着されているか、あるいは、スライドガイド帯がその両端部以外は固着されていない等の構成が必要である。しかるに、原意匠出願には「使用状態を示す図面」の背面部分にあたる個所の襟部とスライドガイド帯とがどのように関係づけられて構成されているのかを示す図面は何ら添付されていないし、また、原意匠出願図面に示されている2つの帯状部材と2つのループ状部材とがフードを回動させる機能を有しているものであっても、その構成自体から直ちに本願考案の技術的課題(目的)が認識できるものともいえないから、結局、原意匠出願図面は、前記技術的課題を達成できるスライドガイド帯部材の構成を含んだ本願考案が認識できる程度、内容のものであると把握することができない。

(2)  原告は、原意匠出願図面中の「使用状態を示す参考図」には、外着の襟部外周に少なくとも両端部を固着して設けた帯部材がフードの内面の左右に取り付けた2個のループ状部材の輪にそれぞれ挿通され、交差状態で係合されている形態が描かれているのであるから、通常一般の者、ましてや当業者であれば、同図を見て、左右2個のループ状の部材は帯部材に沿って(その長手方向に)滑り動くことができ、そしてフードも一緒に襟部の外周に沿って滑り回るものと把握することができ、同時に帯部材はループ状部材の滑り動きを案内するもの、すなわち、スライドガイド機能を有する部材と把握することができるものであると主張する。

しかしながら、帯状部材がループ状部材の滑り動きを案内することができ、またループ状部材の端部がフードに固着されているものであるからループ状部材とともに2つの帯状部材の固着個所の範囲内でフードも滑り動くものであることは認めることができるとしても、原意匠出願図面に示されている帯状部材が「使用状態を示す参考図」の背面部分で外着の襟部のどの個所にあるいはどのように関連づけられて構成されているのか原意匠出願図面の記載から認識できないのであるから、当該帯状の部材が本願考案の技術的課題(目的)を達成するうえで必要な機能を行う「スライドガイド帯部材」であると認めることはできず、したがって、原告の上記主張は採用できない。

また、原告は、甲第8号証の1乃至甲第10号証の2において証明されるようにフード付外着の分野において、その両端が外着の襟部に固着されうる構造の帯部材を、フード内面に取り付けたループ状部材の輪に挿通することにより、ループ状の部材を帯部材に対して交差状態で係合する構成を有するフード付外着は、原意匠登録出願時において、いわゆる回るフードとして、既に市販されていたのであるから、当業者であれば原意匠出願図面を見たとき、その図面には回るフードが図示されていると容易に把握することができると主張する。

確かに、甲第8号証の1ないし甲第10号証の2によれば原意匠登録出願時に回るフード付外着と称するものが市販されていた事実は認めることができるが、前記甲号各証に示されている回るフード付外着と原意匠出願図面に示されているフードとが同一のものであると認めるに足りる証拠はないから、原告の上記主張は採用できない。

さらに、原告は、意匠登録出願をするとき意匠に係る物品の各々の構成要素の目的、作用ないし働き及び効果を願書又は図面に記載することまでは意匠法が要求するところではないのであるから、原意匠出願に意匠に係る物品の各々の構成要素の目的、作用ないし働き及び効果が記載されていないことを理由に本願考案が原意匠出願に記載されていないとした審決の判断は誤りであると主張する。

しかしながら、本願考案が「外着の襟部外周にスライドガイド帯部材を、その少なくとも両端部を固着して設けたこと」、「スライド部材を、スライドガイド部材に対し交差状態で係合すること」等を構成要件としているのは、本願考案の前記技術的課題(目的)を解決するためであることは本願明細書の記載に照らして明らかであり、そのような構成要素からなるフード付外着の考案が原意匠出願図面の記載から認識できるものといえるには、本願考案の各構成要素の実施の態様として別紙図面1に記載されている形態が原意匠出願図面に示されている意匠を構成する各構成要素の形態と同じであり、そして、それらが意匠を構成する物品の各構成要素としての技術的意義、すなわち、目的、作用ないし働き等が図面自体から把握でき、それらを総合して技術的思想の創作と認定・判断できるものでなければならないことは、前述のとおりであって、原告の上記主張は理由がない。

そうすると、「そのそれぞれの構成要素がどのような目的を有し、どのような作用ないし働きをし、効果を奏するのかなどについて何ら記載するところがない。」とした審決の認定・判断に誤りがあるということはできない。

(3)  したがって、本願考案の目的、構成、効果は原意匠出願から明らかに認識できるような程度、内容のものとはいえないから、「原意匠出願には、本願で対象とするフード付外着が記載されておらず、出願時の遡及の利益を受けることができない」とした審決の認定判断は正当である。

3  成立に争いのない甲第7号証(昭和62年実用新案登録願第65283号の願書添付の明細書及び図面のマイクロフィルムの写し)には「外着の襟部外周に少なくとも両端部を固着して設けたスライドガイド帯部材に対し交差状態で係合するスライド部材を、フードをフード上部材布とで形成するフード下部内面左右に配設するとともに、前記フード下部布の両端部を重合掛止する掛止具をフード下部布に設けたフードを備えたフード付外着」が記載されていると認められる。

原意匠出願からの出願変更は、前述のとおり不適法なものであるから、本願は出願時の遡及の利益を受けることができないものであり、その出願日は現実の出願日である平成元年12月8日であり、その考案は前記甲第7号証に記載された考案と認めることができる。

したがって、「本願考案は、引用例に記載された考案であって、実用新案法3条1項3号に該当し、実用新案登録を受けることができない。」とした審決の認定判断は正当である。

4  以上のとおりであるから、審決の認定判断は正当であって、審決に原告主張の違法はない。

第4よって、原告の本訴請求は理由がないから失当としてこれを棄却し、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 竹田稔 持本健司 山田知司)

(別添審決書の理由)

理由

I.(手続の経緯、本願考案の要旨)

本願は、昭和62年5月1日付けでされた実用新案登録出願(実願昭62-65283号)を平成1年2月3日付けで意匠登録出願(意匠登録出願平成1年第3756号)に変更し、さらにこれを実用新案登録出願に変更するものであると称して平成1年12月8日付けで出願がされたものである。しかし、以下のIII で述べる理由から、本願は、平成1年12月8日に出願がされたものであって、その考案の要旨は、平成3年6月21日付け、平成3年10月23日付け、および平成5年4月8日付けの各手続補正書により補正がされた明細書および図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりの次のものと認める。

「外着の襟部外周に少なくとも両端部を固着して設けたスライドガイド帯部材に対し交差状態で係合するスライド部材を、フードをフード上部布とで形成するフード下部布内面左右に配設するとともに、前記フード下部布の両端部を重合掛止する掛止具フード下部布に設けたフードを備えたことを特徴とするフード付外着。」

II.(当審の拒絶理由の概要)

これに対して、当審で通知した拒絶理由の概要は、本願考案は実願昭62-65283号(実開昭63-177913号)の明細書および図面の内容を撮影したマイクロフイルム(以下、引用例という。)に記載された考案である旨のものであり、なお書きとして、本願の変更前の出願である意匠登録出願には本願考案が記載されているとは認められず、本願についての書類を提出した日である平成1年12月8日を本願の出願の日として取り扱う旨の付記がなされている。

III .(出願の変更の適否)

そこで、意匠登録出願(意匠登録出願平成1年第3756号)(以下、原意匠出願という。)から本願の実用新案登録出願への出願変更の適否を検討する。というのは、本願の実用新案登録出願の日を確定するために不可欠であるからである。

原意匠出願は、意匠に係る物品として「フード」を指定し、意匠登録を受けようとする意匠を記載した図面として、正面図、背面図、平面図、底面図、左側面図、右側面図、A-A断面図、B-B切断部端面図とともに、参考左側図面、使用状態を示す参考図(これらについては添付の図を参照。)が添付され、意匠の説明で、参考左側側面図において薄墨で表した部分は透明であることが示されている。

そして、出願変更に係る実用新案登録出願の対象となる考案は、原意匠出願に記載されていなければならない。

ところが、原意匠出願には、意匠に係る物品として指定された「フード」の意匠、すなわちファッション性の強い服飾であるフードのデザインが示されているが、意匠に係る物品、つまり意匠を具現化した物品が実際にどのような構成をとり、そのそれぞれの構成要素がどのような目的を有し、どのような作用ないし働きをし、効果を奏するのかなどについて何ら記載するところがない。

そうすると、原意匠出願には、本願で対象とするフード付外着の考案が何ら記載されておらず、出願時の遡及の利益を受けることができないものである。

したがって、Iで述べた結果のとおりとなる。

IV (引用例、対比)

引用例には、

「(1) 外着の襟部とフードとにフード回動構造が施されたフード付外着において、前記フード回動構造として、前記襟部またはフードの下部の何れかに首回り方向の両端部が固着されるスライドガイド帯部材と、該スライドガイド帯部材が固着されない残りの前記襟部またはフードの下部の何れかに首長さ方向の両端部が固着されるスライド部材とを有し、かつ前記スライドガイド帯部材およびスライド部材は、互いに交差状態で固着される構造が使用されたフード付外着。

(2) 前記スライドガイド帯部材の両端部およびスライド部材の両端部のうち、少なくとも何れか一端部は着脱自在に固着されている実用新案登録請求の範囲第1項記載のフード付外着。

(3) 前記フードは、少なくとも着用者の上頭部を被うフード上部布と、下頭部を被うフード下部布とを備え、また前記フード下部布の上部の表面側に前記フード上部布の下部を重合して重合部を形成させ、かつ該重合部のフード両側部に各々聴音用通路を形成させて前記フード上部布とフード下部布とを連接させ、さらに前記聴音用通路の通路周壁にはシャーリングが形成されているフードである実用新案登録請求の範囲第1項または第2項記載のフード付外着。」

が図面とともに記載されている。

そこで、本願考案と引用例記載の考案とを対比する。

引用例は、Iで述べた本願の実願昭62-65283号の明細書および図面のマイクロフイルムであって、引用例には本願の考案の構成要件のすべてについて開示されており、本願考案は、引用例に記載された考案である。

V.(結論)

以上述べたように、本願考案は、引用例に記載された考案であって、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

別紙図面1

別紙図面2

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